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純愛版では各ヒロインのエンディングを見るごとに
岩崎優香(妹)視点の外伝ストーリーが、

特定のエンディングを見ることで
虎牙猛の視点での外伝ストーリーが次々に追加されていきます

ゲームを進めていくと、この二人の他にも
ストーリーが追加されることも???


「ん…んっん、んんっ……」

「えっ?」

もう一度、寝返りを打ったのかと思ったら、あの人が
すぐ目の前まで近づいていた。

息を止めてその様子を見守っていると、さらに身体が
ゴロゴロと転がってくる。

「やっ…ちょっと待ってっ。いきなりそんなっ…」

動揺しまくりなわたしをよそに、
兄な人は同じ布団の中に潜ってきた。

――全てを委ねちゃいなよ。

『悪い優香』の囁きが聞こえてくる。

――大好きなお兄さんが初体験の相手って最高っしょ!

…頷くな、わたし。

その間にもあの人はわたしの上に乗って、獣のような息を……。

「すーっ……すーっ……」

「…って、寝てる?」

(…そうだよね。
 うちのお兄ちゃんが繁殖期とかあるわけないし…)

(…………)

(ていうか、わたしが繁殖期なのかな……)


でもあの人は人見知りするわたしの腕を引いてくれて、
気がつくとあの人の笑顔に釣られて笑ってしまっていた。

――お兄ちゃん。

あの人をそう呼ぶようになったのは、デパートへ買い物に行って
迷子になってしまった時。

不安で、怖くて堪らなくて、自然にわたしはあの人のことを呼んでいた。

『ひっく…おにいちゃん、どこにいるの!』

その時に息を切らせて迎えに来てくれたあの人の温もり……
それが恋心に変わるまで、そう時間はかからなかった。

『ゆうかがおにいちゃんのおヨメさんになってあげる♪』

子供だから許された口約束。

だけど自分が結婚できる年齢になって思い知らされる。

――妹は……恋人にも、お嫁さんにもなれない。



 

「…すまない。あいつらに殴られたのか」

「…………」

「話は俺がつけておく。お前は早く自分の町へ帰れ」

「待てよ。他に言うことはねえのか?」

「…………」

「見損なったぜ。まさかあんたが、こんな暴走族の
 一員だったとはな」 

「…他に話すことはない。
 いいな? 早くこの町から出るんだ」

「そうかい……それがあんたの……」

――裏切られた。

そんな一方的な失望感が、激しい憤りへと変わっていた。

一瞬でもこんな奴に心を許した自分に反吐が出る。

「二度とこんな町には来ねえよ!」

 

……その日から、オレはまた独りになった。

目的もなく夜の街を彷徨い、名も知れぬ公園で朝を
迎えることも多かった。

そうした無気力な日々の中で、妙な歯切れの悪さだけが
残っていた。

鬼嶋龍童……なぜあいつは何も言わなかったのか。

どうしてあんな暴走族なんていうクズの一員として
あの場所にいたのか……。

そんな些細な疑問が、オレを再びこの町へと赴かせていた。 

今夜は随分と静かだ。

ここにくる途中、通りかかった葬儀場で誰かの通夜が
営まれていた。

制服を着た弔問客が多かったところを見ると、死んだ
のは学校の生徒か関係者だったのかもしれない。

道端には『野崎家葬儀式場』という案内があった。


「野郎ども、今夜も全開でいくぜぇーーーっ!」

「おおおおおおおおーっ!」

「しかし、アイツが姫ねえ。まだまだガキじゃねえか、あんなの…」

「バカ、それがいいんだろ。
 女は生理が始まったらもう賞味期限切れだ」


「…あっちの方はいいのか?」

「何がだ…?」

「とんでもねえ化け物らしいじゃねえか。
 夜な夜なメンバーを襲ってるヤツってのは…」

「…………」

「このまま野放しにしてたら、FLAG EMPERORは潰れるぜ?」

「そうだろうな…」

「…あんたなら、その化け物を止められるんじゃねえのか?」

「…………」



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